雪割草とマッチ売り

氷河期乙女()の雑記、再起と貧困と。

氷河期底辺が答える10の質問

はてなブログ10周年特別お題「はてなブロガーに10の質問

ブログ名もしくはハンドルネームの由来は?

ブログ名は氷河期ロスジェネの救いのなさにちなんで「マッチ売り」

マッチ売りの少女は天に召されることで救われるが、昇るべき天もなくゆく宛もないまま苦しんで生き延びる暗示としての「雪割草」

はてなブログを始めたきっかけは?

老後が心配なためアフィリエイトについて勉強しようと思った。

自分で書いたお気に入りの1記事はある?あるならどんな記事?

氷河期寓話シリーズ シンデレラ

ブログを書きたくなるのはどんなとき?

本当は一日一記事の予定であった・・・

下書きに保存された記事は何記事? あるならどんなテーマの記事?

氷河期寓話 白雪姫と七人のオタク

内容よ欲張りすぎて異様な長文になってしまい失敗。

自分の記事を読み返すことはある?

読み返し、コッソリ誤字脱字を直している。

好きなはてなブロガーは?

まだいない淋しさ。

はてなブログに一言メッセージを伝えるなら?

良い場所をお借りできてありがたく思います。

10年前は何してた?

持病隠してブラック派遣しながらの育児。

この10年を一言でまとめると?

苦行。

氷河期寓話 赤ずきんと蝶々 2

 

hankashii.hatenablog.com

 

旅立ち

オオカミは赤ずきんが見たかった風景を通りながら言いました。

 

「君が帰って来るまでに、おれたち古い世代は居なくなっているだろうけれど

決して消えてしまうわけじゃあないんだ、君が思い出してくれる間は。

思い出も、君の血肉になって暖かさを持ち続けるんだ。」

 

花畑も小鳥の森も、行ってみれば大した距離ではありませんでした。

オオカミが近道を知っていましたし、赤ずきんも背が伸びてしっかり歩めるようになっていたのです。

 

赤ずきんが、もう会えないのとたずねるとオオカミは言いました。

 

「翼を持った小さなものになって、君に知らせを出すよ。」

 

遊び心のなさで生き残る

赤ずきんは商家の奉公人になっても勤勉でありました。

働きぶりを気に入られて勉強を教えてもらったり、立ち振る舞いを美しくするよう躾けられました。

やがて美しい娘に成長した赤ずきんは、商家の主人が持ってきた縁談を受けて結婚しました。

見合いと言っても取引先の子息で、二人は互いにこの人ならと思ったのです。

 

生真面目で面白みに欠けるくらいの二人でしたが、赤ずきんの夫は街をよく知っており、デートに連れ出してくれるのでした。

 

やっと寄り道を覚える赤ずきん

無口で朴訥とした青年だと思っていた彼を、いつかのオオカミのように頼もしく思いました。

彼の手を離さず、歩みを合わせて生きていくのは幸せだと彼女は思いました。

 

大不況や大型店の台頭により、二人の店は苦戦を強いられましたが、どうにか乗り越えました。

彼女は奥様の座にあぐらをかかず、自ら店頭に立ち働きました。

時には疲れ切り、時には夫と喧嘩もしましたが、乗り越えてきました。

時々、夫の肩に蝶が止まっているのを見て、オオカミの森と不器用だった自分を思い出しました。

 

寄り道をしない赤ずきんは、夫と仕事をしながら街をうまく歩けるようになって行き、寄り道ついでに用事を済ませたり、一息ついたりする力をつけて行きました。

幼い頃思い描いていた、お嫁さんか勤め人になるという夢を両立することになりました。

子供のころは当たり前だったお嫁さんという職業は無くなってしまっていました。

 

暖かさを繋ぐ物語

子供を授かった彼女は、寝物語にオオカミの森の話をしました。

おばあさん、どうしてそんなに・・・

 

夫は傍にいてその思い出話をよく聞いており、僕もその森を君と見てみたいと言うのでした。

赤ずきんは母からの便りで、あの森はリゾート施設になってしまったのだと聞いてはいましたが、いつかのオオカミの言葉を思えば、決して消えはしないのだと信じたいのです。

ああ、子供の頃くらいはもっと寄り道を楽しんでおけば良かった。

 

幼い頃信じていたこと、大人の言う通りのいい子でいさえすればきっと幸せになれるということは、時代が許してくれませんでした。

お嫁さん(専業主婦)にも勤め人にもなれませんでしたが、運よく商家のおかみさんになれました。

苦労はたくさんありましたし、これからもきっと乗り越えなくてはならない事はあるでしょう。

そんな時はいつも、どうしてそんなに・・・どうしてこんなにも・・・と、幼いころのように自分に問いかけます。

 

赤ずきんだったおかみさんは、開け放した窓から小鳥が入ってきたときや、夫や子供の傍を蝶々が舞っているのを見る度に、オオカミとの小さな寄り道を思い出すのでした。

 

ある夜、子供に寝物語をしているとき、どうしてそんなに・・・と言いかけた時

不意に寡黙な夫が言いました。

「君を好きだからだよ。」

 

おかみさんは報われた気分と、夫からの愛をかみしめながら

あの森にあったものすべては死にはしないと思うのでした。

氷河期寓話 赤ずきんと蝶々 1

寄り道をしない赤ずきん

赤ずきんはお母さんの言いつけを守ってお使いやお手伝いをするよい子です。

「おばあさんの家にワインとケーキをととけておくれ。

決して寄り道をしてはいけないよ、悪いオオカミが出るからね。」

 

さて、この赤ずきんは愚直なまでにお母さんの言うとおりに、お使いを終わらせて帰って来るのです。

綺麗な湖や花畑、きらめく蝶々、真っ赤な野イチゴやかわいい木の実、道中には素敵な物がいっぱい。

しかし彼女は寄り道なんかしません。

大人の言うとおりに良い子にしてさえすれば、きっとお母さんのようにお嫁さんになれたり、お父さんのように勤め人になれるだろうと信じていたのです。

 

ちょっと脇道にそれたら、リスやウサギの住処があることも、小鳥たちの集まる大樹があることも知っていましたが、寄り道はしません。

実はオオカミとも友達でしたが、お母さんを心配させまいと内緒にしていました。

 

内緒、内緒。

ある日、おばあさんの家に着くと、オオカミは洗濯物の取り込みを手伝っているところでした。

おばあさんは、オオカミが摘んできてくれた色とりどりのベリーでタルトを作って、庭のテーブルにお茶会の準備をしています。

 

オオカミは洗濯かごからおばあさんのナイトキャップをつまむと、頭にちょこんと載せておばあさんのマネをします。

赤ずきんや、可愛い顔をもっと近くで見せておくれ。」

 

それがお約束の合図です。

おばあさん、どうしてそんなにおめめがギラギラしているの? それはね・・・

 

赤ずきんは内心、子供っぽい遊びだと思いながらも、子供らしいひと時を過ごすのでした。

赤ずきんが12歳になり、商家へ奉公(兼花嫁修業)に行くまで、内緒のお茶会は続きました。

 

少女の頃の終わりに

街に出る前に、おばあさんの家に挨拶にたずねると、おばあさんもオオカミも大そう喜んでくれました。

お約束の呼びかけ遊びも今日でおしまいです。

 

おばあさん、どうしてそんなに・・・「わたしを好き?」

 

おばあさんは「愛しているよ、赤ずきん。」と答え

オオカミも「好きだよ」と答えました。

 

帰り道には途中までオオカミが送ってくれると申し出ました。

これが、赤ずきんの初めての寄り道になりました。

 

 

hankashii.hatenablog.com

 

氷河期寓話 魔法をかけるシンデレラ

自ら灰を被っているシンデレラ

「シンデレラ、あなたいい加減にタバコ辞めなさいよ。」

私が幾つになっても母は相変わらずうるさい。

でも、父の連れ子だった私を養子に迎えて育ててくれた恩人だ。

「んー、辞めようとは思ってるのよ。」

 

義姉たちより私のほうがずっと家計に貢献しているし、学費を貯めて勉強もしている。

これくらいのストレス解消くらいいいじゃない。

二人の義姉はフリーターとヒキニートだ。

我が家の家計は母のパートと私のバイトで成り立っている。

勿論父が遺してくれたものや、学資保険のお陰もある。

 

母には反対されたのだが、私はクラブのキャストをしている。

大学の学費を賄うためだったが、今ではこの仕事にやりがいを感じている。

 

キャバほど騒がしくなく、お酒も付き合う程度、落ち着いた店だが昔ながらの厳しさもある。

言葉遣いやお礼状の書き方、所作や着こなしも徹底指導された。

幸い良い先輩に引き立てられてよく面倒を見てもらった。

 

お城勤めのシンデレラ

私はツイてる、幸せだ。

父が亡くなったとき、血の繋がりのない私を養母が引き取ってくれた。

先輩のお陰で、いまいち垢ぬけない私を変えることができた。

 

きっと若い間だけ、今だけはお姫様の振りをしてこの城で稼ぐんだとシンデレラは思っている。

学校を出て就職して、母に楽をさせてあげたい。

 

ある日、お客様から縁談の話を聞いた。

そうだここは高級クラブというお城、まるでガラスの靴のような縁が落ちていても不思議ではないんだ。

 

ガラスの靴

見合いというほどかしこまったものは男性側が嫌がるというので、お試しデートという話になり、当人を差し置いて皆は盛り上がった。

シンデレラは少しの準備期間を貰って、そのデートに挑むことにした。

 

デート当日、二人は無口ながらも悪い気はしないといった風で、少しぎくしゃくとしながらも駅までゆっくりと歩いて行った。

行き先はアキバ。

シンデレラは「姉」を見送った。

 

ヒキニートではあるものの、家事には協力的で料理上手な姉。

準備期間の間に磨き上げて、彼がいかに素晴らしいかを説き、ラインで連絡させたところ意気投合したようだった。

 

姉にとって彼はまさに王子様だった。

最初は姉の年齢より若い女性を希望していた王子にとっても、歳が近く同じアニメやゲームの話ができる姉は居心地が良かったようだ。

 

シンデレラは仕事で習得した魔法の一部、化粧と服選びを教えただけだったが、地味で青ざめた姉は「控え目で可愛らしい子」に変身した。

その控え目さもまた、王子の好みだったようだ。

 

その夜、王子の父上であるお客様が上機嫌でご来店くださり、皆で祝杯をあげた。

滅多に出ないシャンパンが空いた。

 

姉と同じく、しばらくヒキニートしていた王子が再就職の活動を始めたそうで、息子の笑顔を久しぶりに見たとお客様はお喜びだ。

「姉も嬉しそうにしておりました。どうぞこれからも宜しくお願いいたします。」

 

童話のシンデレラは城と金を見たが、このシンデレラは「人」を見てガラスの靴を譲り、魔法をかけた。

 

わたしの魔法はわたしが作る

姉の結婚とシンデレラの就職内定が決まった折、シンデレラは父の墓前に報告に行き、

父の好んだ銘柄のタバコに火をつけて供えた。

 

「お父さん、社内全面禁煙なんですって。だからこれが最後の一本。

私ははじめから灰かぶりなんかじゃなかったもの、幸せでした。

 

私はお妃じゃなくて事業を興して一国一城の主になりたいの。

お妃様は欲のないお姉ちゃんみたいなひとがぴったりでしょう?

 

私はガラスの靴なんか無くても歩いていけるから、お父さん見ててね。」

 

料理上手の姉が嫁に行ってしまったら、我が家の夕食はどうなるんだろう。

交代制かなあ、などと考えながら彼女は家路についた。

空っぽになってしまった

氷河期シングルマザー、子育てを終わると・・・

20代30代はシングル育児と非正規雇用で使い切ってしまった。

うつ病を隠しての仕事だったから、動いていられる限り動いて、倒れてはまた動くの繰り返しだった。

 

どうにかこうにか子供が独立したものの、とてつもない孤独と病んで年取った身体しか残らなかった。

鬱々と泣いて暮らす時期も過ぎて、荒野のような自由を味わっている次第。

 

今更ながらやっと治療に向き合えるようになり、ぽっかり空いた時間をどうしたものかと持て余す。

生物としての私は、もう役目を終えてしまったのだと、虚しくなってしまった。

 

ふと、老後の心配もあることだしブログでもやってみようかと参考サイトや動画を見ていたところ、あるブロガーさんの言葉に心打たれたのだった。

 

「ビジネスの

仲間や友達、僕は結婚相手もブログで見つけました。」

 

なんですと。

歳を言い訳に、新しい知り合いができるなどとは考えもしなかった。

何日かぼんやり考えて、テーマも決まっていないまま見切り発車でブログを書いてみることにした。