雪割草とマッチ売り

氷河期乙女()の雑記、再起と貧困と。

私が脳筋にハマる10の理由  100㎏は100㎏だろ、重りと筋肉は裏切らない人々。

はてなブログ10周年特別お題「私が◯◯にハマる10の理由

私が脳筋にハマる10の理由。

 ただの萌え語りです、いつも通り何の実用性もない記事です。

 「年取ると若い子が可愛く見える現象」という傾向があまり反映されてない、平均年齢高めの推しリストでございます。

 筋肉付けたり格闘家として技術を習得するには年数がかかるため、お兄さん()達が多いという理由もありますが、中年以降も彫刻のようなお体や体力気力を維持しておられる努力を応援したい。

 幾つになっても成長を続ける御姿に元気と希望と感動をいただける。応援したい。

 中高年が頑張ってる姿って感動と敬意が湧く、応援したい。

 脳筋キャラって面白カワイイ、頼りになりそうで、そうでもなさそうだったり。

 

1.筋肉界隈にハマるきっかけとなった、芸人でボディービルダー、youtuberのコアラ小嵐さん

 ダイエットをきっかけに見始めた筋トレやボディメイク動画

その中でも美形さと説明の上手さ面白さで目を引いた筋肉。

 以前「マッチョ29」という筋肉アイドルグループに所属しており、歌やダンス、コントで笑いとかっこよさを披露されており、コレで筋肉クラスタにハマりました。

 解りやすく健康的なダイエット、ボディメイクを提唱されており、非常に参考になります。

 本年のボディビル大会優勝の様子はとても感動的であり、フリーポーズ演技の美しさもまた素晴らしいものでした。

 本職はお笑いグループ超新塾のメンバーであり、超新塾でも筋肉ネタを発揮されています。お笑いが本職(?)とあってトークも楽しく丁寧なファンサービスをされる誠実な方です。

 

2.コアラ小嵐さんと仲良し、ボディービルダーでyoutuberのサイヤマン・グレートさん♡

 人間離れした腹筋と身体能力がチャームポイント。身体もネタもキレキレな筋肉。

 コアラさん経由で視聴するようになったのですが、見慣れるととっても可愛い。おじさんと可愛いを両立できる稀有な方です。

 元ヤンぽいルックスですが、とても素直で純真、おおらかな一面があり、屈託のない表情がクルクル変わる様子が可愛らしいアラフォー筋肉。

 

3.まさに生きる彫刻、調理師でyoutuberのシャイニー薊さん

 類稀なる美貌をお持ちなのですが、気取ったところがなく、クシャっとした笑顔やスベり気味なトークに誠実さを感じる筋肉。

 料理人らしく美味しそうな料理動画あり、考えなくても見栄えはちょっとアレでもバランス良く栄養が摂取できるお手軽料理、「沼」あり。

 大会前に日焼けの替わりに日焼け風ペイントをするスタジオに行くレポートがあるのですが、彫刻の塗装をしているようです。ただひたすらお美しい!

 

4.アホだけどそれが可愛いリアルバキ、ボディビルダー横川尚隆くん♡

 トリニクって何の肉?でおなじみ

 ゴリマッチョの身体の上に爽やかで可愛い系の顔が乗っているけど、不思議と違和感が無い。脳筋でアホなところもチャームポイントな筋肉。

 美貌と突き抜けたアホキャラというギャップが素晴らしい彼ですが、トレーニングの質量はとんでもない負荷だと、上記のサイヤさんが仰ってました。

 オーバートレーニングになりがちなサイヤさんすら「横川君のトレーニングは無理」と仰るくらいですから、相当に人間離れした努力をされているようです。

 

5.筋トレの売人、マッチョダンディで経営者、テストステロンさん

 筋肉をテーマに感動の名言を日々発信しておられ、筋肉じゃない人々にも支持が厚いお茶目ダンディな筋肉。

 Tweetをまとめたり対談したりの著書は多数あり、読みやすく解りやすい文章も良いです。

 強い人は優しいのか、優しい人だから強くなれるのか?どちらとも言えそうです。

 時々は、自分の名言を自分で実行できずにヘコむパターンもあり、お茶目なごまかし方をなさいます。

 経営者で稼いでいて多忙で家族もありマッチョで・・・、ですが完璧超人ではない人間臭さやユーモアも垣間見え、親しみが持てます。

 

6.頑張りすぎてもう健気で泣ける、ボクシング元チャンプ、竹原慎二さん♡

 レベル4の癌から生還され、痩せられたけれども、街の喧嘩自慢の小僧どもをボコして更生させる父性愛溢れるアラフィフ筋肉。

 拝見していて、もう無理しないでー!とも思いますが、しっかり悪ガキをボコしにかかります。

 ボコされた悪ガキの身の上話を聞いてやり、更生のため応援の言葉をかけたりもされます。

 ちょっと不器用で口下手なところが昭和の男前、といった感じで良いです。

 闘病記録や、お母様に感謝を述べる動画もあり、泣けます。

 

7.総合格闘家、やっち君♡

 ここだけ「歳取ると若い子が可愛く見える現象」のコーナーです。

 ファイター特有のガツガツした感を秘めた、爽やか筋肉の矢地祐介君。

 山本KIDさんのギラギラ感が最高のかっこよくて、子煩悩なパパとして、愛犬家としての父性愛溢れるギャップ好きだった世代です。

 しかしやっち君はギラギラガツガツした面は普段秘めており、爽やか笑顔の好青年です。

 モテるのも納得な男前ですし、礼儀正しく柔らかな物腰も素敵です。

 そして、やっち君ちゃんねるを支えるメンバー、ジークンドーの先生はじめ、様々な達人たちとのコラボも楽しい番組です。

 朝倉未来君との対談では「友達にはなれない、格闘家同士で居たい」とギラギラ感を出すシーンもありました。

 番組的には朝倉君と仲良くして組んだ方がオイシイはずだし、仲良くなれそうなのですが、あえて断ってしまう格闘家の矜持にも感動。

 多才な朝倉くん兄弟、お茶目な那須川くんがわちゃわちゃしている番組も好きです。

 

8.アクション俳優、甘いマスクだけど強い!坂口拓さん♡

 格闘技の関連動画で発見。テレビ見ないし、格闘家とのコラボが多いから普通に格闘家かと思っていました。

 キングダムにも左慈役で出演されていたんですね。狂武蔵 たくちゃんねるという番組をされています。

 素手でも強い朝倉海君が武装した状態で、抑えるという荒業もやってのけました。

 ウェイブという古武術をベースにした体術と体得されており、アクション俳優の範囲に収まらないくらい強いです。

 

9.マッチョダンディといえば、山本義徳先生♡

 いまだ衰え知らずのレジェンド筋肉。シャイでお茶目な一面もあるマッチョダンディな元祖筋肉。

 筋肉飯には欠かせないブロッコリーが苦手なのだそうで、番組のお料理企画でブロッコリーが出て来た時は「えー、わたくしはこのくらいで。」と小さいブロッコリーをお選びになるシーンが可愛かったです。

 物腰の柔らかい優しい声で話されるので、先生!といった雰囲気もありますが、現役筋肉からの支持も厚く、トレーニング指導につかれる事もあります。

 トレーニング動画は本格的すぎて難しいですが、栄養に関する動画は一般のダイエットしている方にも有用な情報です。

 こんな情報(男性必見な内容)も発信されているのですが、しっかり学問というか下品にならないのは、山本先生の気品からでしょうか。

 

10.シメはやはり、なかやまきんにくんさん♡

 実際は筋肉留学もしっかり実になってる、クソ真面目で好感度高い頭脳派筋肉。

 中山さんはとにかく真摯で真面目な方なので、動画自体は少し難しくて長めなものになりがちだったり、ストイック過ぎてマネできない減量法だったりするのですが、誠実さが伝わってきます。

 本年は大会優勝おめでとうこざいます!同じ大会の別の階級ではコアラ小嵐さんも優勝されており、お笑い界から二名の受賞者がでるという不思議現象を起こしました。

 youtubeでは、テレビでは語らなかった筋肉留学について、ボディビル大会への情熱的なお姿を見られます。

 いつまでも若々しく好青年の印象ですが、なんと40代になられるそうです。

 とても礼儀正しく腰の低い方で、20代の方々とコラボされても丁寧語を崩さず真摯に向き合います。爽やかさで20代に負けていない点も人気の秘訣でしょうか。

 

 

ド底辺貧困までの道のり。外から見たら良い家庭。

我が家の崩壊と、裁判所での別れ

 私は23で結婚して24で子供を授かったので(2000年)、人生を前倒し気味だった。

 現代のように家事分担は当たり前ではなく、初めての出産からワンオペ育児家事で育児ノイローゼになってしまった。

 産後うつから本格的に鬱病になってしまうパターンだった。

 

 当時読んでいたプレママ雑誌や新米ママ雑誌では、父親の育児参加は二極化していたように感じた。

 妻ワンオペか、出産前から夫も積極参加か。勿論後者の方が推奨されていたが、実行できる人は限られていたと思う。

 今ほど育児や介護の休暇制度の取得率が高くなく、そもそも夫の会社には育児休暇取得の前例がなかった。

 

産婦人科にもよるだろうが・・・

 出産後、散々脅かされたものだ。

 これをすると、またはこれをしないと赤ん坊は死ぬ!と、助産師さんや看護師さんからの指導の場で、事故事例をもとにやたらと脅かされた。

 私も第一子出産の新米ママさん組で、真に受けてビビりまくった。

 二子以降のベテランママさん達は勝手が解っているのでハイハイと聞き流していたが、新米組はどこいらへんまで真に受けていいものか見当がつかない。

 ただでさえ初めての育児でナーバスになっているのに、無駄に不安を煽られた結果になった。

 また、退院の時になって義実家の金銭トラブルに巻き込まれたこと、産前産後ともに夫が役に立たなかったことが後を引くことになる。

 

 不安だらけのまま育児が始まり、二時間おきに授乳するのでまとまった睡眠もとれない。

 夫はアテにならないどころか家事やその他の仕事を増やす上に、客まで連れてくる始末。

すぐに体調を崩して熱を出したが、それでも二時間おきに授乳してオムツ換えして沐浴着替え・・・

 実家近くに産科の病院がないため里帰り出産はやめていたのだが、流石に実家の母に助けを求めて1カ月ほど里帰りとなった。

 

搾取用の子供

 義実家における夫のポジションは、所謂「搾取用の子供」であり、病弱な弟は「愛玩用の子供」として家族の中心だった。

 夫は若いのに紹介料目的で貯蓄型生命保険に加入させられていた。

 数年おきに貯蓄分が払い戻しされるのだが、それを受け取るのは本人ではなく義両親である。

 夫ほぼ放置状態で育ち、搾取と面倒事の用事以外は透明人間という扱いだったようだ。

 本人には全く自覚がなかったし、たぶん薄々気づいていても認めたくなかったのだろう。

 実は出産後の退院時に起こった金銭トタブルもこれでゴタゴタした。

 

 怒った私は件の大型生命保険を解約させた上、怪我入院に特化した共済に加入。 

 ついでに見栄で会費を払っているだけで全く使っていないスポーツジムの解約などなど家計の見直しにも取り組んだ。

 だが、夫はなぜか自分の手柄と勘違いした上、趣味に使える金額が増えたことにヒャッハーしてしまい、家計は苦しいままだった。

 要は経済DVであるが、当時はモラハラの概念が少しばかり出始めた程度の認識で、これで「有責配偶者」として田舎の調停で認められるものか、期待はできなかった。

 

 私は彼を搾取から解放したつもりだったのだが、特に感謝もなく、仕事以外は何もしていないのに、なぜか自分の手柄にしてしまえるのである。

 学歴コンプレックスの夫を、商工会主催の起業セミナーに申し込んで放り込み、異業種交流会で自信をつけさせる方針はうまく行ったが、それも自分の手柄。

 褒められる要因となるレポートや事業計画書を書いていたのは、私だったのだが、やってもらえるのが当たり前とあぐらをかいてしまっていた。

 本業の企画書も、イベント告知のフライヤーも!と要求はエスカレートして行った。

 

 彼の境遇に同情し、解決策を示した所までは良かったのだが、慢心させ甘やかし過ぎたのが、私の過失だった。

 私に感謝も感心もなく、「自分の代わりに搾取されてくれる人」扱いなのも腹立たしいが、それに息子も含まれ巻き込まれるのがどうしても許せなかった。

 

 夫婦と赤ん坊、来客に出す料理や菓子類まで含めて食費1万5千円に収めろという要求に、1円単位までイライラし続けることになった。

 

 育児どころか生物の面倒を見ることに向いてない人で、「ちょっと息子見ておいて」と頼むと『本当に見てるだけ』で、「おーい、泣いてるよー」と他人事のように何もしないのだ。

 愛されないひとは愛し方を知らないと言うが、ここまで酷いとは思わなかった。接客業のため平日休みの夫だが、ちょっと赤ん坊を預けて用事に出かける事も出来ない。

 息子の首が据わるまで歯医者にも行けない有様で、時間がかかる美容院なんてとても行けない。髪は伸ばしっぱなしになっていた。

 診断書があったので保育園の入所資格はあるものの、待機児童でいっぱいでいつになったら子供を預けられるのか解らない。

 

 夫がする家事育児というのは、外から見える事だけだった。出がけにゴミを出すことと、子連れで三件隣のドラッグストアにお遣いに行くこと。

「奥様を手伝っていい旦那さまですね、いいパパでよかったねぇ僕~。」

 現代では当たり前すぎて褒められるか謎な、家事育児してます風のパフォーマンスだけはしっかりやるのだ。

 子煩悩で良き夫という評価が出回って、誰にも評価されず赤ん坊と二人きりで過ごす私は、周囲に愚痴をこぼすこともできず追い詰められていった。 

 モラハラという言葉がチラついたが、まだ判例が少なく田舎の裁判員には期待できない。

ずっと赤ん坊と二人きりでまともに会話をしない日が続き、よく事件にならなかったものだと今でこそ思う。

 

共倒れになる前に逃げよう、まだ身体が動かせる間に。

 夫は仕事の愚痴しか話さない上に、客を連れてきて料理を出させたり、社内イベントのフライヤーや、起業セミナーに必要な企画書や事業計画書を手伝わせるのが当たり前になって行った。

 ウチの奥さんは寝てばかりで何もしないと言いながら、しっかりとアイロンの折り目が付いた制服を着て出社した。

 気が向いた時だけ息子を連れて褒められに出かけ、オムツ換えすらしなかった。

 私は何カ月も人間らしい会話も、まとまった睡眠もとっていない。

 

 疲れが溜まって、つい寝てしまったことがある。

 夫の言うことには、伝い歩きの息子がテーブルの上の柿をかじったり、ハチミツの容器を開けて飲んでいたとのことである。

 「僕は金を払ってるのに、幼い息子を飢えさせるようなことを」

 空腹の息子にミルクも離乳食も与えず、食品にイタズラしているのを止めもせずただ見ていてこの言い草だ。

 私の体重は、授乳と疲労と貧乏で拒食症スレスレの域だったがそんなことは見えない。

 このまま密室育児を続けていては絶対に事件になる、と心療内科に助けを求めたが夫が付き添ったことは一度もない。

 

 逃げよう。このままみすみす見殺しにされてなるものか、と思った。

 自分勝手な都合以外は全く見えず、受け付けない頭脳の彼は、夫にも父親にもなれないのだ。

 このままでは、いずれ息子と私も飢えと疲労で共倒れになる。見殺しにされる。

 息子を抱いて自力移動できるうちに逃げるしかない、と思った。

 

 この夫には別居してからも迷惑をかけ続けられるのだが、6年後離婚調停で別れることとなる。

 ド底辺人生を自ら選んでしまった瞬間だったが、二人分の命には代えられない。

 この時には他の選択肢は無かった。

 

氷河期寓話 イソップは寓話より奇なり

ギリシャ読みでアイソーポスとぐぐると。

奴隷身分から市民、そして寓話作家になったという説が出てくる。半伝説の人物らしいが。

Wikipediaでは美女奴隷と浮名を流している絵図まで掲載されている。

 

しかし、氷河期奴隷はどうだ。

 政府の支援策も20年遅れで、しかもコロナ期と被っているし、実際40半ばで正社員になったところで昇給の見込みはあるのか。

 そんな折に40歳定年説などが流れていたが、中高年にどうしろと言うんだ?年金すらアテにならない世代なのに。

 

私が書く氷河期寓話はなぜ結婚エンドなのか

 言い訳がましいが私が書く氷河期寓話は全体的にヌルい自覚がある。

 メンタルの弱さから、あまりに悲壮で貧しく肩身の狭い泥沼で、しっかりと胸糞の悪くなる読後感を出す事が出来ないし、そういった才もない。

 これではアイソーポスよろしく時代の奴隷から抜け出せないではないか。

 

 私たちが幼い頃はまだ家父長制が残っていて、ある程度の歳になるまでは皆結婚をするものだと思っていた。

 ジャンプの黄金期をリアルタイムで体験した。

 携帯電話なんてドラえもんに出てくる「みらいのせかいのアイテム」だった。

 そして、ドラえも~ん、あかるい二十一世紀なんて来なかったよ。

 

 ボロボロになるまでブラック労働をしてきたけど、身体壊しただけでなんのスキル持ってないダメな大人になりました。

 ダメなままで、時代の奴隷のまま終わるのも嫌だし。老後も心配だから今更感のある個人ブログとSEO対策の勉強なんかしているの。

 

 それで、結婚エンドばかりの言い訳だが

 時代やお国の救済は期待できないので、極めて個人的な人間関係からささやかな幸せを得るというエンドが、多少なりとも誰かの救いになればと思って書いている。

 多少の少、ちょびっとでいいんだ。

 

表題のマッチ売りはいつ出て来るんだ。

 氷河期世代の救いのなさになぞらえて、幾つもの冬を乗り越えて尚死ねないマッチ売りをタイトルに選んだのだが、一応の草稿はある。

 上記のようにブラック労働でダメになった父と、貧困が連鎖したダメなゆとり娘の話だ。

 氷河期だから天国も やさしいおばあさま なんか出てこない。

 クソ底辺の体験が生かせるタイトルではあるが、少々きついのでなかなか手をつけられないでいる。

 

氷河期はアイソーポスをめざす。

 ところで、読者がほとんど居ない私のブログは広告収入どころか、誰かの救いになるのだろうか。

 収入はともかく、誰の目にも届かないのは報われない。

 ますます「戦略」やらSEOを勉強するしかない。

 

 氷河期世代が最後の愛用者かも知れない、資生堂Tactics(戦略)のかほり。最近売ってない。

 

アリとキリギリス。蓄えも群れも要塞すら無いアリ。

北風と北風

ウサギと自己責任

王様の耳はロバだって聞いてくれるならマシな方

虚飾で彩られたカラス(の崩壊)

普通の斧と普通の斧と普通の斧

すっぱいブドウしか食えないロスジェネ狐

ブラック企業を白く洗う(暖簾に腕押し糠に釘)

 

氷河期寓話 白雪姫  3、鏡の真実は

1話

 2話

 

ヴァルキリー、四十路を前にして戦「乙女」の称号は恥ずかしい。

「ママ上、無事に亡命できたのね!

 でもどうして再婚なさろうと思ったの?まさか、愛のない政略結婚なの?」

 

「違うわ、ちゃんと恋愛結婚なの♡。

 子供たちが居るC国に出戻って、離宮で隠遁生活をしている間に、七人の騎士さま達には本当にお世話になったの。

 まず息子の即位にご協力いただいて、結果的に皇太后の地位を貰うことになったの。

 しばらくは息子の国政を手伝って、地位が安定するまで見守った。

 娘も無事に嫁に行ったのを見届けた。

 その間にほとぼりが冷めるのを待ったわ。私、D国では政治犯にされかけた身ですからね。

 

 それから、騎士団が侍従と通訳、ボディガードを付けて下さったから、生まれて初めて公務以外の自由な旅行に行けたの。

 今まで手紙とニュース映像でしか知らなかった、国境なき騎士団に会いに行けたのよ。一私人として。

 もちろん国境なき騎士団のロイヤルチートを効かせて頂いたから、そんな贅沢でワガママなことができたのだけれど。

 

 その時の各国ファッションレポートが、『オシャレ魔女ジーナ』の元になって、シリーズ化したの。

 執務室の魔女は忌わしいあだ名だけれど、逆にお洒落の魔法使いになれたのは嬉しかったわ。これは自費出版して自分で営業から始めたもので、ほぼ実力なのよ。

 貴族文化が転覆して市民文化になったD国でも認められたのは意外だけど、ほんとに魔法みたいだった。

 

そして、国境なき騎士団から素晴らしいプレゼントのご提案をいただいたの。

 『この世界の誰であっても、私が恋をして選んだ人と再婚させて下さる。そして最期まで見護る』って。

 そうして選んだのが貴女の父上よ。」

 

「ちなみにパパは二回結婚して、両方とも恋愛結婚だぞ。

 アンジーとは政略結婚だったけど、お互いに初恋同士だった。10代の甘い恋と身を裂かれるような別離だった。

 自由の身になったイーズちゃんには猛アタックした!40手前にして尊敬婚てやつだ。

 普通は女子が年上男子に尊敬と憧れを持って惚れるんだけど、ウチは逆だね、パパの方がベタ惚れだね。」

 

「なんか聞いてて恥ずかしいんだけど、そうなんだ・・・アンジーママもママ上も、ちゃんと恋愛結婚だったんだね。

 なんだか良く解らないけど安心した・・・。」

 

 白雪姫は、『お国の為』に生れたのではなく、愛のある両親から生まれたことに、なんとなく安心感を覚えたのだった。

 父が亡母を忘れられないことも、再婚を頑なに拒んでいたのも知ってはいたのだが、改めて聞くことも、あえて訊ねることもしなかった。

 父からの愛が、義務感だけのものだとは思っていなかったし、父はうるさいが大好きだ。

 これからは、継母と父のうるさいバカップルに挟まれて、うるさいなりに幸せな家族になって行くんだ・・・

 白雪姫は緊張と忙しさから少し疲れて、ウトウトしてきた。

  王は姫をそっと抱えると髪にキスをし、布団に運んで寝かしつけた。

「君の髪は日向のにおいがして好きだ、パパはまだ白雪ちゃんを離さないぞ。」

 何年ぶりだろうか、白雪姫は父にくっついて眠った。

 イーズも隣に来て寝顔を覗きこんだ。

 

 幼いころ、若かった父母に両手を引かれて歩いた日、挟まって川の字で眠った日、病床の母の前で、父が涙をこらえる姿に酷く不安を覚えて、泣きだしてしまった日・・・

 あれ?パパ、なんかくさい?大好きなのに・・・かっこよくて頼りになって、ハンサムなのに・・・くさいとウトウトと思いながらも、白雪姫は幼い頃の夢をみていた。

 異性の家族を臭く感じるようになるのは、ある意味健康な成長の証拠だ。

 

 王とイーズは、姫の寝息を聞くように、しばらく見つめながら今は亡き天使のことを想った。

 アンジェリーナ、24歳の若さで旅立った彼女は二人にとって大切な家族で、文字通り天使だった。

 天使の願った通り、ま白き肌と漆黒の髪、赤いくちびるを持った美貌の姫君・・・実際は髪色がちがうだけで亡母にそっくりな娘に育った。

 部活やバイトで日焼けするから、そばかすを気にしていたアンジェリーナにますますそっくりになった。

 

 

白雪姫が鏡の真実を見る日

「あの鏡は、いつ姫に見せたらいいだろうか?」

 王は姫を起こさぬよう小声で言った。

「この子が失恋の悲しみを知った時か、アンジーがこの子を産んだ19くらいか、元服記念か・・・」

 イーズも決めかねているようだった。

 

「失恋の痛みか、いつになるんだろうね。この子はまだ恋を知らないからな。

 それに、姫を傷つけるような男は、このフィリップ王が生かしてはおかぬ。」

「あなた、そろそろ子離れを考えておかないと。この子を嫁に出す時に国民の前で号泣することになるわよ。」

 

「あ、今 あなた って言った。陛下じゃなくて、あなただった。」

  暗君は破顔一笑し、魔女はそれを見て微笑んだ。

「君は顔以外は、『アンジーに似てない』だから惚れたんだ。」

 

 家族三人で川の字になって眠った。

 両親は、姫の寝相が最悪だということを知った。

 

 

 

世界で一番美しいのは

 真実の鏡というのは、白雪姫が5歳のとき病死したアンジェリーナ后からのビデオレターだった。

 病床の妻の手を握り名前を呼び続ける王と、最期の言葉を遺す后の姿を映したもので、一枚のディスクだった。

 

 男児を産めなかったことを詫びる妻と、君と姫さえ生きていてくれたらいいという夫。

 娘の身を案じどこへも行けないとつぶやく妻、どこへも行かないでくれと懇願する夫。

 

 白雪姫、イザベル。わたくしは少女の頃から許嫁の王子様にずっと憧れていたの。

 王室カレンダーを宝物にしていてね、

ポニーを可愛がって、汚れた作業服を世話する王子の姿・・・公立学校で学ばれていたり、学友たちとボール遊びしたり、書庫で居眠りしてたり・・・

 なんて安全でおおらかな国なんだって思ったわ、わたくしもこのなかに入れるのかしらって、心配もしたわ。

 

 王宮しか知らないわたくしには、王子様はとても自由で生き生きとした少年で、公務で会った時の印象とは別の顔を持っていて、最高に魅力的だった。

 馬術や剣が得意で、大会優勝の写真も大好きだった。

 

 政略結婚以前に、もう彼に恋をしていたの。仲良しのお姉さまも一緒に、彼に夢中だった。

 

「ありがとう、ありがとう、僕の天使。無理をしないで・・・」

 

 隣国のニュースでちらりと映っただけで、ねえさまと大騒ぎしてたの。ふふ、おかしいでしょう?

 

「王でも皇太子でもない、ただのフィリップを愛してくれたのは、君だけなんだ。」

 

 白雪、あなたも幸せになって・・・今のお転婆のまま、すこやかに、幸せでいて。

 どうか幸せに、お願いよ・・・

 

「僕の天使、君は世界で一番美しい。世界で一番大切な宝なんだ

 世界で一番・・・

 世界で一番・・・                    」

 

 

 

魔法の数々。

 魔女はもう政治からはリタイアし、就活メイクや証明写真メイクのアドバイザーをしながら国内を駆け回るようになった。

 ちょうど就職活動中だったシンデレラも、魔女の著書を愛読していた。

 

 また、魔女はファストファッションを取り入れたコーディネートを日々発信しており、著書の売れ生きも好調だ。

 赤ずきん夫妻の洋品店は、のちにファッションセンターとしてチェーン展開することになる。

 

 最大の魔法は、20年越しの遠回りした初恋を実らせて、妹の忘れ形見を育てることだろうか。

 

1話

 2話

 

氷河期寓話 白雪姫  2、姫君と七人のオタク

1の続き

ママ上(継母)は魔女

家族三人は約束の時間まであわてて準備して、パジャマで姫の部屋に集合した。

王はアイスクリームと、姫の好きなプチプラ化粧品を持参。

継母は異国みやげの服と、大きなバッグを持参。

姫の部屋は客用布団の上にクッションやぬいぐるみが並べてあり、少女らしい飾り付けをしてあった。

テーブルには菓子と取り皿、リボン猫のティーセット、それとなぜかペンセットがあった。

「あの、ママ上。『オシャレ魔女ジーナ』ちゃんのファンブックにサインをお願いしますっ!」

イーザが色とりどりのペンに感激しながらサインしている間に、姫は目ざとく王のプレゼントをねだった。

「わっ、CanメイクとSeザンヌの新色だぁ!父上ありがとうー!」

「イーズちゃんとお買いものデートの時に選んでもらったんだ、やっぱ女性の意見が聞けるとパパ助かる~。

 『古くなったのはお肌に悪いから捨てて』って、イーズちゃんが言ってたよ。」

 

一通り騒いで夜食タイムになったとき、アイスを食べながら白雪姫が訊ねた。

「ねえパパ、あんなに嫌がってたのにどうして再婚する気になったの?」

 

「それはね、イザベル推しヴァルハラ会最期のメンバーになったからだよ。

 

 最初は少年時代のアンジーママとパパだけの会だったのだけど、各国の王子王女たちも加入してきてね、オタサーになったんだ。

 昔のイーズちゃんはA父王について見事な政治手腕を振るっていて、僕たちの憧れだった。」

 

「パパぁ?新婚夫婦の共通趣味がバイトとオタサーって、結構学生っぽいコトしてたのね?」

 

 

「ベルちゃん、青春と言ってくれ。

 イーズちゃんがB国の老王に嫁ぎ老衰にて死別、C国の王に嫁ぎ二児をなすが暗殺により死別、その間の政治信条と実行力の素晴らしさ、国民を想う姿、

気丈にも運命に立ち向かう姿に私たちはシビれてたんだ。

 

 公務で会える時は共に語り合い、国交のない国や敵対国の王子たちとも密書を交わし、サークル活動の間だけはただの一ファンでいられた。

 文化も宗教対立も越えて、私たちはただ政治家志望の少年たちだった。

 

これが後に世界和平に通じるとは、あの時は思いもせなんだが。」

 

著書にサインと熱心な書き込みを終えたイーズが振り返り、呆れたように言った。

オタサー?国境なき騎士団じゃなかったの?」

 

「イザベルさん本人宛の密書に(イザベル推しヴァルハラ会)とは、さすがに恥ずかしいから、かっこつけたネーミングを皆で考えたんだよ・・・。

 

 君は戦乙女ヴァルキリー、私たちは命果ててもヴァルハラで再び会おう!って、

 中二病入ってたけど、アンジー含め短命なメンバーも居たからね、戦争や暗殺、疫病なんかで。

 誰か欠けるたびに、私もいつかヴァルハラで再会することを誓ったものさ。」

 

父王の訳のわからない話に眉をひそめる姫に、イーズは土産物の異国の布を取り出して羽織らせていた。

「ちょっと背伸びしてキャミワンピースに仕立てようかしらね?この更紗は着心地がいいからお部屋着になるようにショールも合わせたいわねぇ。」

 

「わっ綺麗!どんな服になるのかなー。ショールの布は、これは絹?すごい!

 ・・・ママ上・・・?

 オタサーに推し活動されるなんて、どんな感じだったの?

 何か怖いことなかった?」

 

イーズは席に戻り、服のデザイン画を描きながら語った。

「怖かったわ、夫や子供たちと別れるのも、政略結婚も。

 C国の次はD国の側室になったの、破綻した経済にテコ入れして欲しいってお願いされたのだけど、私がD国で資料を見ていた時にはもう手遅れだったの。

 長年の重税と飢饉が重なって、支援政策より早く暴動が始まったわ。

 そのまま革命の波が王宮になだれ込んで来るのはすぐだった。

 富を独占していたと見なされた者は王族貴族まで投獄され、裁判にかけられたわ。

 私も幽閉されてとても怖かった!

 黒の未亡人、執務室の魔女と呼ばれたわ。

 でも、獄中で拷問も乱暴もされなかったのは、国境なき騎士団のお陰だったの。

 ね?騎士さま?」

 

イーズから視線を送られて、王が照れながらも演説した。

「諸君、我々はもう無力な皇太子ではない、王だ!

 ここでヴァルキリーひとりを護り抜けなくて何が王かッ。

 先にヴァルハラへ旅立った者たちの為にも、使命を帯びて遺された我々が女神を奪還しようぞ!

 

 ・・・これでいい?

 えー、革命を見越しててね、まぁ、こんな感じの密書がオタサーの残り7名の間で行き交っていたのよ。

 あの時の清い少年たちは、相続争いだの暗殺だの戦争でもなお生き残り、王になった奴らは、政治的勘が効くし、ある程度ズル賢い汚い大人になっちゃってたんだよ。

 

 反則は承知で、7人で多少汚い手を使わせてもらった。

 こればかりは許せなかったんだ、我らが女神が魔女狩りのような扱いをされてしまう。

 『民衆を扇動する自由の女神』という偶像に、我らの女神が殺されてしまう。あの絵は今もキライっ!

 7人が寄ってたかってロイヤルチートを使って、イザベルの安全を確保し、公然と亡命させた。」

 

 「父上、実は演説できるんじゃん。暗君じゃないじゃん。」

 「ベルちゃん、PTA役員で鍛えられたんだよ。まあアレだ、君のおかげだよ。」

 

王たるもの、城内に七人の敵あり。

姫君たるもの、国外の七人の騎士あり。

 

まだ続く

氷河期寓話 白雪姫 3、鏡の真実は - 雪割草とマッチ売り

氷河期寓話 白雪姫  1、ゆとり姫はお小遣い稼ぎが楽しい。

王の再婚、ふたりのイザベル。

 王が再婚を決めた。

父子家庭のファザコン娘である白雪姫は思春期まっただ中、王も再婚には戸惑っていたのだが、チャンスを逃すまいと急いだ縁談だった。

そろそろ生意気な口をきく娘とオシャレ魔女の初対面に、王は心が重かったのだが、二人の反応は意外なものだった。

 

「全然感じが違うのに、母上にそっくり・・・!」

瞳を潤ませ頬を抑える姫の手を、魔女の手が包んだ。

「あの頃の、陛下を見つめていた時のアンジーにそっくりだわ!」

 

アンジー(アンジェリーナの略)とは白雪の亡母で、魔女イーズの妹だった。

王家の嫁に、素性のわからない本物の魔女が来るはずもなく、妹なき後姉が後妻に入ったという、政略結婚にありがちなパターンだった。

 

二人はかしましく話し合い、食事会の後にも約束をしていた。

王は杞憂どころか、すっかり置いてきぼりにされてしまったのを苦笑いしながら見ていた。

王の幼い頃、母や姉妹がにぎやかにしていたのを思い出した。

 

イザベルたち、今夜はパジャマパーティーにしようよ、パパも混ぜてほしいんだが。

王が呼びかけると二人は嬉しそうに振り向いた。

白雪姫は亡母が妊娠中から願いを込めてつけていた愛称で、本名は敬愛する姉の名前を貰ってイザベルと名付けたのだった。

アンジェリーナ后は仲の良い姉ををイーズの略称で呼び親しんできたので、姫はベルと略して呼び分けることにしていた。

 

顔合わせの茶会は和気あいあいと進み、王はパジャマパーティーのために夕食の時間を少し早めてくれるよう侍従に頼んだ。

 

姫君のお手伝いポイント

白雪は少女らしく笑って

「私、ママ上のご本予約して買ったの!

パパがファン活動は自分で努力したお金でするものだっていうから、お手伝いポイント貯めて、期末テストも頑張ったの。」

 

イーズは少し驚いて、白雪がどんな働きをしたのか訊ねた。

「城内のアルバイトに混ぜてもらったの。

 洗い場や野菜の下拵えとか、花壇の植え換え、浴場のお掃除。

 高校生の先輩方が色んなこと教えてくださって、オシャレ魔女ジーナちゃん(継母の筆名)のお話もしてるわ。

 休憩時間にまかないをご一緒したり、任される仕事が少しずつ増えたり、勉強の得意な先輩には家庭教師をお願いしたり・・・楽しいから受験勉強が始まるまで続けようと思うの!」

 

イーズは王の教育方針に驚いたが、嬉しそうな姫の様子を見て微笑んだ。

「そうね、高校生になったら白雪ちゃんにも後輩ができてもっと楽しくなるわね。

パジャマパーティーでもっとお聞きしたいわ。」

 

「はい!父上、ママ上、私の部屋でベッドメイクして、お夜食用意しておきます。19時集合よ。」

白雪姫が慌ただしくお辞儀をして退室する。

 

イーズが王の教育方針を称賛し、白雪姫は素晴らしい娘に育ったと言うと、王ははにかみながら新妻を見つめて言った。

 

「容姿はアンジーにそっくりだけど、性格は活発な君に似ているだろう?

私も王子時代にアンジーと一緒にバイトをさせてもらっていたんだよ。

アンジーにお義姉様、君のカレンダーやファンブックを買ってあげたくてね。

15で嫁いで来てホームシックになりがちだったアンジーには、社交界の義務的な付き合いより楽しそうにしていたよ。」

 

訳あって魔女とあだ名される新妻はしみじみと言った。

 

「最期の騎士さまが貴方で良かった。

アンジーは娘らしい時間を過ごして来たのね、あの子みたいにキラキラ笑って。」

 

暗君はイクメン

白雪姫のパジャマパーティーは、普段は学友やバイトの先輩の少女たちで行われる。

王は父として自ら保護者同士の連絡をとり、馬車を出して少女たちの送迎もした。

娘らにうるさがられても、ちゃんと宿題しなさい早く寝なさいと小言を言い、手土産のお返しを用意し、ケンカがあれば仲裁した。

 

姫が5つの時からシングル育児を通して来れたのは、かつてバイト仲間だった使用人たちが親身に相談に乗ってくれたお陰でもある。

 

冷戦中の他国からは暗君呼ばわりの王ではあったが、地元の保護者会役員としては信頼を得ている。

姫の部屋でのパジャマパーティーに父王が招待されるのは今回が初めてで、姫がもてなしてくれるのも初めてのことだ。

 

再婚相手が姫の亡母に似ていただけでなく、姫の憧れるファッションリーダーだったこともあって、姫は予想以上に父の再婚を無邪気に喜んで、パーティーに参加させてくれたのだが…

父王としては、ファザコン娘が多少はヤキモチを焼いてくれるのではと期待していたのに、拍子抜けするような反応で、淋しいような、まだまだ無邪気な娘が愛おしいような複雑な気分だった。

 

続く

生活保護を知らなかった家族の悲劇 どうか助けを求めて下さい

 

「つらい役を任せてごめんね」…困窮の果て、生活保護を知らない長男は母の最後の願いに応えた : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン

二日前のニュースでしたが、おめでたい(?)ニュースの陰に隠れてしまったようで、やるせなく、気にかかっていました。

 

恥ずかしながら、私も受給者です。

最初の相談から半年ほど悩んでからやっと申請し、審査通過しました。

今回は申請の時の様子をお知らせ致します。

 

ネットでは寄生虫とかペット以下などと罵声を浴びせられる事も想定されますが、どなたかの一助になればと願ってのことです。

 

私の居住地では、生活保護申請の為に役所へ行くと、一旦役所外の相談センターに行くよう指導されます。

水際作戦のようで少しややこしいですが、産業カウンセラーさんがヒアリングしてくださるので結果的に申請がスムースになりました。(後述)

 

相談センターでのお話の結果、「資産なし・持病あり・家族あり・家賃あり」と申し込み要件を満たしているとのこと。

再度役所のケースワーカーさんを呼んで下さり、申込書類一式をいただき記入方法を教わって、相談初日は帰宅しました。

 

ですが、私にはどうしても気がかりな点があり、すぐに申し込みに行けませんでした。

 

まず、嫌な民生委員の爺さんを通さなければならない謎の掟。

母子手当関連の時から嫌だったのですが、電話番号を知っているのにアポ無しで押し掛けてくる人です。

当時私は遅くまで働きに出ている事もあって、いきなり早朝に来て上がり込んだり。(女子供しかいない家です。)

近隣の個人情報帳をドヤ顔で見せびらかして来たり、秘守義務も遠慮もない方で、

わが子の軽度障害に尾ひれをつけて言いふらされたのを知った時には殺意が湧きました。

勿論、秘守義務は当然のこと、誠意ある民生委員さんがほとんどだとは思います。

稀にハズレが混ざっていただけのことです。

 

次に厄介だったのは大家さん。

昔ながらのボロアパートにありがちな、上の階に住んでいる高齢のご夫婦で、普段から何かと差別発言の多い方でした。

そして、上記の民生委員とわが子の障害をネタにして言いふらしていたメンバーでもあります。

住居の面積を記載した書類を貰う必要がありました。

その時の私は追い詰められていたので、理屈をつけて追い出されるのを恐れていました。

実際に大家都合での立ち退きは難しいのですが、とにかくお金がないことでいっぱいいっぱいになってしまい、正常な判断ができませんでした。

 

子供は高校生になっていましたが、二人揃って鬱状態で、お遣いも家事の手伝いもできない。私は遅く帰ってもわずかな食事を作らなければなりませんでした。

そんな最悪の、心中するか餓死するかという状態で、尚も数か月使い捨て派遣の仕事に行き、ついに寝込みました。

すでに何度か、役所側から申請を急ぐように連絡をいただいていました。

再びふらふらと相談センターに行き、生活保護申請を出しました。

 

大家さんの件は、相談センターのカウンセラーさんが職権を超えて付き添って下さり、どうにかなりました。

大家さんは権威主義なので、カウンセラーさんの名刺が効いたようです。

 

民生委員さんについては、役所の窓口でパニック発作気味になって必死に訴えたところ、現場の判断で関与しなくて良いと言っていただけました。

審査が通るまで、どうにか二人で生き延びて、時にはカウンセラーさんがセンターで余ったらしきお弁当を届けて下さることもありました。

 

やっと審査が通り、保護費をいただけるようになりましたが、うつ病が悪化して、ケースワーカーさんが病院に付き添って下さるような状態が続きました。

 

私は幸い、相談に乗って下さったカウンセラーさん、ケースワーカーさんに恵まれたお陰で保護を受けることができました。

 

冒頭の事件は他人事とは思えず、助けが必要などなたかの御目に留まってくだされば、と思い当時のことを書きました。

理想的には、再起に数年かかるようなダメージを負う前に保護された方が、仕事復帰も早くなるはずです。

 

助けが必要な方、どうか早く役所のホームページを見るなり、命の電話で話してみるなりなさってください。

足りないのはお金や食料だけでなく、人的リソースです。